夜泣きで眠れぬママたち、深夜だけ開くカフェ「ヨナキリウム」が話題に
赤ちゃんの夜泣きに悩むお母さんたちが、真夜中にほっと一息つける場所——それが新潟市にある深夜カフェ「ヨナキリウム」だ。
営業は毎週水曜の夜10時から翌朝6時まで。利用できるのは母親と赤ちゃんだけで、多い日には5組ほどの母子が訪れる。店内は暗闇に包まれ、クッション性のあるマットが敷かれた空間で、生後4か月の赤ちゃんを連れた20代の母親は「柔らかい、温かい、静かだけど落ち着ける雰囲気で、初めて来たとは思えないぐらいリラックスさせていただいている」と話す。中には店に着いた途端、張りつめていた気持ちがあふれて涙が止まらなくなる母親もいるという。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon このカフェを始めたのは、7歳と4歳の子どもを育てる滝沢日向子さん(30)。自身も第一子の育児で夜泣きに悩み、うつ傾向になった経験があった。「ドライブするけど泣き止むまで続く、謎の泣き止ませドライブ。目的地もなければ、夜開いている場所もコンビニ・スーパーとかしかない。ファミレス寄っても赤ちゃんと2人なんてゆっくりできない。いつまで続くのだろうみたいな」と振り返る。
夜泣きによる睡眠不足は、親の心身に深刻なダメージを与える。出産後のケアを行う太田匡哉医師は「睡眠不足になると、父も母も自己肯定感が下がってしまう。自分に対して否定的な意見、どんどん不安が強くなって、うつ状態になっていく」と指摘。実際、父親・母親ともに10人に1人以上が「産後うつ」を発症するといわれ、妊娠中や産後1年以内に亡くなった妊産婦の最も多い死因は「自殺」だ。夜泣きに悩む親への支援は、命を守る意味でも重要な課題なのだ。
そんな中で生まれた「ヨナキリウム」は、水族館のように心が落ち着く空間を目指して作られた。滝沢さんは元イルカのトレーナーで、「水族館の大水槽、嫌いな人いない。なかなか大人になってそういった時間ない」と話す。
しかし、運営は決して楽ではない。ボランティアスタッフの協力を得ながら営業を続けているが、5月と6月に取材した2日間は利用者がゼロ。滝沢さんは「開けていても来るか来ないかわからない。予約制じゃないし、駆けこめるようにしてあるから賃借料・人件費かかって赤字」と明かす。利用料は1回500円だったが、今年度から1時間1000円、4時間2000円に値上げ。オムツやミルク、ドリンクバーを無料にしたが、それでも1日平均0.6組の利用にとどまっている。現在は補助金で運営しているが、あと1年半ほどで終了。それまでに自立した仕組みづくりが急務だ。
それでも、この場所に救われた母親は確かにいる。店に置かれた「ママノート」には「今回はゆっくりヨナキリウムをたんのうできて、また来たいです。素敵な夜の居場所を作って下さり本当にありがとうございます」と綴られている。滝沢さんは「夜の場所をなくさない、というのをずっと心にはおいています。また新しく必要とするお母さんも出てくるだろうし、夜の子育て支援で、子育てしやすい環境づくりにあった方がいいと思う。頑張ります!」と語る。
現在は男性の利用はできないが、今後は男性OKな曜日やスポットを新たに作る構想もある。25日には新潟市で初のイベントも開催され、新たな収益の柱を模索する。核家族化が進む今、夜の子育てを支える居場所の重要性はますます高まっている。
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